今年の5月は例年より雨が少なく、田んぼの水ため作業が遅れています。私どもの地域は山の上にあり、川がないため水田の水利は天水とため池に依存しています。加えて今年は雪が少なく、わき水も少なく、また昨年の夏の干ばつの影響でため池の貯水量も少ない状況にあります。
天水での水ためがあまりできず、今年はほとんどため池で水ためしました。今後の雨に期待せねばため池の貯水量も増加せず、今年は水不足が心配されます。雨乞いしています。
しかし、水ためが終わった棚田の田んぼってとてもきれいです。
農産物をはぐくむ「水」、「土」、「光」の恵みを生かした農産物生産を行っています。
私たちの地域は山の上にあるため、川がありません。水田の水は天水とため池に依存しています。先祖が長い年月をかけてため池と水田を作ってきました。水路はとんでもない長さがあり、ため池の水が田んぼまで入るまで1時間くらいもかかります。古い水路が老朽化してくるし、最近の過疎化の影響で、水路管理も困難になってきました。
今年も、老朽化した水路の改修を行っています。この水路は約50年前に私の祖父の時代に設置したコンクリートのU字溝ですが、老朽化が進んだことと、水路管理の省力化を行うため、塩ビ管に改修しています。建設業者に発注するのもよいのですが、建設コストを下げるため、自力施工を行っています。
高齢化が進んだ私たちの集落ですが、幸い、重機のオペレーターや、測量のスペシャリストがいますので、業者に負けない本格的な工事施工を行うことができます。何よりも集落の人々で力を合わせて、集落とその水田を守って行くことが大切です。
めいめいに「くわ」や「じょれん」を持った老若男女。一体みんなで何をしているのでしょうか?5月25日、池水落水の1週間前日曜日は地区民総出でため池の水路の掃除をしました。
籾村は山の上に田んぼがあり、水田用水は天水とため池の水です。ため池の水も限られており、下籾水利組合では、毎年6月1日からため池の水を使うことができることとなっています。その1週間前には、地区民総出で、用水路の清掃「溝さらえ」をします。
籾村にとって、ため池の水は田んぼの用水だけではなく、実はもっと大切な存在価値があります。それは防火用水です。籾村に水道施設ができたのは平成6年のことです。水道と同時に消火栓も整備されましたが、過疎の山村籾村は、民家が点在しており、消火栓だけではとうてい有事の際の消火活動用の水を確保することができません。そこで、昔から、ため池の水を防火用水としています。このため、「溝さらえ」は水稲を作付けしている人はもちろん、下籾地内に住んでいる人、家も持っている人全員が参加して行われます。この写真では、下籾の中の「源田地区」住民13人で長谷池水路をさらえているところです。下籾地内には、大小9個の農業用ため池があります。それぞれの池から田んぼに水を引く水路が地域の等高線に沿ってのびています。さらに、ため池に水がよくたまるように、「承水溝」という山や谷から雨水をため池に引き入れる溝もあり、それらの総延長は想像もつかない長さです。
下籾地内の小字ごとに担当する水路の範囲が決められていて、各小字ごとに一斉に溝掃除が行われます。私たちの村では、このように、農業の面でも生活の面でも「共同作業」は欠かせないものです。これらの作業を通じて地域の連帯感が育まれていくものと思います。
しかし、これも結構腰が痛い作業です、しかし、大勢でするからこそできる作業です。
一週間後の6月1日にはこの溝をため池の水がとうとうと流れることでしょう。